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院 長 コ ラ ム |

佐倉歯科口腔クリニック 〒330-0856埼玉県さいたま市大宮区三橋2-19-1 TEL:048-645-5558 FAX:048-645-5481 |

DATE |
タイトル |
2017/9/17 |
No302 医療とコスト |
朝日新聞では「医療とコスト」という企画の記事を8月に3回にわたって掲載しました。
高額な医療費のかかる治療が必要だったのか、実際にあったケースを紹介しています。
<西日本のある病院に昨年末、90代後半の重症心不全の女性が運び込まれた。心臓から血液を全身に送るための弁が硬くなり、呼吸困難に陥った。本来なら胸を切って人工弁を埋める外科手術が必要だが、高齢過ぎて体力的に耐えられない。
そこで、太ももの血管から細い管を通して人工心臓弁を届ける「経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI(タビ))」という治療が行われた。体への負担が少ない最先端の技術で費用は700万円ほど。保険が利くので患者負担は少ないが、保険料や公費の負担は大きい。
治療は成功して女性は無事に退院したが、その数カ月後に肺炎で亡くなった。治療を担当した医師は振り返る。「症状が悪化するまで畑仕事をしており、『もう一度元気になりたい』という思いが強かった。高齢になるほど肺炎や脳梗塞(こうそく)のリスクは高くなるが、発症するのか予測は難しい。>
このようなケースは多くはないかもしれませんが、高額な医療費を使い治療しても結果的に亡くなってしまう患者さんもいるようです。
年齢で治療内容を差別することはできないでしょう。また命にかかわる病気の治療にコスト意識を持てというのはおかしいなどいろいろ意見もあるようです。
記事を読んだ方から寄せられた一般の方の意見は、無駄遣いはやめたほうがいい、タダだからと安易に受診したり、薬をもらっても飲まない人がいるなどと言いう意見がありました。
一方医療現場の医師は風邪薬を保険から外せというが風邪と肺炎を誰が判断するのか、手遅れになったら誰が責任を取るのかという意見も載っていました。
また、あるクリニックでは患者が希望しなくても薬を出す医師がいるという話も載っていました。
確かに私の診療所に来る患者さんの中にも薬手帳を見せてもらいますと、すごい数の薬を服用している高齢者が少なくありません。 そのような患者さんの中には自分が今どのような病気で何のためにこの薬を飲んでいるのか分かっていない方も多数います。
これは飲まなくても変わらないんだけど出すからもらってくるなどと話す患者さんも珍しくありません。
国民皆保険制度というのはマイナスの面もありますが、誰でもある一定の費用以下で高度な医療が受けられる点では、非常によくできた制度かもしれません。
しかし、高齢者人口が増え続け、医療や看護にかかる費用が膨らみ続けることを考えますと、どこかで何らかの大きな制度変更をしないと国の社会保障は破綻してしまうでしょう。
ただ、いつも感じてしまうのですが、医療とコストを考える場合、歯科医療は昔から蚊帳の外です。
むし歯の基本的な処置の費用は40年前と変わっていません。
私たち現場の歯科医師はそのような保険制度でも保険医である以上受け入れざるを得ないのです。
歯科医療は医療ではないのでしょうか。
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